冷蔵庫の奥から出てきた米麹の袋。日付を見たら、とっくに過ぎている。
捨てるか使うかを決める前に確かめてほしいことがあります。その袋は乾燥米麹ですか。それとも生米麹ですか。
麹メーカー4社と麹屋3店の公表値を並べたら、この2つは同じ「米麹」でも別の食品と言っていいほど期限が違いました。乾燥米麹は未開封で半年から1年。生米麹は冷蔵で1週間から3週間です。
先にお断りしておきます。この記事は各社が公開している資料の整理であって、手元の袋の表示を置き換えるものではありません。表示が最優先で、迷ったときは使わないのが正解です。
先に答えを書きます
米麹の賞味期限は、乾燥か生かで桁が変わります。7つの作り手の未開封の目安を並べます。上4つが全国流通の麹メーカー、下3つが自社で麹を作って売っている麹屋です。すべて各社の商品ページか公式の案内に出ている数字です。
| 作り手・商品 | 種類 | 未開封の目安 |
|---|---|---|
| 伊勢惣 みやここうじ四角型 200g | 乾燥 | 1年 |
| こうじや里村 米こうじ 300g | 乾燥 | 製造日より12カ月 |
| マルコメ 甘酒用 乾燥米こうじ 100g | 乾燥 | 製造日から10か月 |
| ムソー 国内産米こうじ・白米 | 乾燥 | 開封前6ヶ月以上 |
| マルカワみそ 生麹 | 生 | 冷蔵21日ほど |
| 目黒麹店 生米こうじ | 生 | 冷蔵で約20日 |
| 鈴木こうじ店 生麹 | 生 | 冷蔵1週間〜10日 |

乾燥米麹は半年から1年。生米麹は冷蔵で1週間から3週間。 日数の桁が違います。
袋の見分け方は簡単です。スーパーの常温の棚に置かれていて、粒がカサカサに乾いていれば乾燥米麹。冷蔵ケースにあって、しっとり湿っていれば生米麹です。
乾燥麹が長持ちするのは、麹菌を止めてあるから
なぜ差がつくのか。伊勢惣が理由を書いています。できたばかりの麹は蒸したお米と同じように水分を含んでいて、麹菌が活発に活動したまま出荷される。これを生こうじと呼び、扱いはこうなります。
その保存には冷蔵や冷凍など生ものとしての扱いが必要です。
乾燥麹のほうはこうです。
一方の『乾燥こうじ』は、出来上がったこうじの保存性を高める為に生こうじから水分を飛ばしたもので、こうじ菌のそれ以上の成長や活動を止めると同時に腐敗も防ぎ、生こうじに比べ、常温でも長期の保存をし易くしたものです。
その差は水分量です。コーセーフーズが数字を出しています。
通常「生こうじ」が水分25%前後なのに対し、米こうじは10%以下になっているので、常温での流通・保存が可能です。
生麹は生きている麹菌がまだ動いている食品です。 乾燥麹はそれを水分を飛ばして止めてあります。期限の差はここから来ています。
乾燥米麹の「1年」は製造からの長さです
表の数字には注意点があります。「1年」も「12カ月」も、製造してからの長さです。買った時点で残っているのはそれより短くなります。
こうじや里村は「製造日より12カ月(パッケージに記載)」と明記していますし、マルコメの甘酒用も「製造日から10か月」と書いています。袋の日付を見るのがいちばん確実です。
保存の条件も各社が書いています。
- 伊勢惣「乾燥こうじは、直射日光を避け、涼しい場所(冷暗所)にて保存してください。夏場や長期保管の場合は冷蔵庫にて保存してください。」
- マルコメ「直射日光を避け涼しいところで保存してください。」そして「未開封でも冷蔵庫での保存をおすすめします。」
- こうじや里村「直射日光や高温多湿を避け、常温で保存してください。」
常温でよいと書いている社と、未開封でも冷蔵をすすめる社に分かれます。 迷ったら冷蔵にしておけばどちらの案内にも反しません。
生米麹は冷蔵の日数が2倍以上割れている
生麹のほうは、同じ「冷蔵」でも社によって日数が違いました。

マルカワみそは3つの保存方法を並べて案内しています。
その1 冷蔵庫にて保存⇒21日ほど保存可能
生麹の短所としてはこう書いています。
常温保存出来ず、10度以下の保存が必須
目黒麹店も近い数字です。
賞味期限は、冷蔵保存で約20日、冷凍保存で3ヵ月程度保存可能です。
一方で鈴木こうじ店は半分以下です。
冷蔵で1週間から10日程度になります。常温での賞味期限は約2~3日程度です。
同じ生麹で1週間と3週間。ここは商品ごとの表示に従うしかありません。 製法も水分量も社によって違うので、一般論の日数を当てにしないほうが安全です。
なお目黒麹店は日数だけで判断しないよう添えています。
賞味期限にかかわらず、お早めにお使いください。日数が立ちますと麹菌の力が弱くなってしまいます。
生麹は傷むかどうかだけでなく、麹の力が落ちるかどうかでも早めが良いということです。甘酒や味噌を仕込むつもりなら、期限より前に使うほうが結果が良くなります。
開封後の米麹の日持ちは、どこにも書かれていませんでした
ここが今回いちばん意外だった点です。
7つの作り手を調べて、乾燥麹の「開封後◯日」という日数は確認できませんでした。 書かれていたのは置き場所だけです。
- 伊勢惣 みやこ麹パウダー「直射日光、高温多湿を避け、開封後は冷蔵庫に保存してください。」
- ムソー 国内産米こうじ・白米 — 商品情報の「開封後:」の欄が空欄
マルコメの「糀を使った商品の開封後の賞味期限は?」というQ&Aにも、生塩糀としょうゆ糀は「開栓から2か月」と出ていますが、乾燥米こうじの行はありません。
そのマルコメのQ&Aは、大前提のほうをはっきり書いています。
賞味期限は未開封で正しく保管された場合の期限です。
農林水産省の説明も同じです。
ただし、消費期限も賞味期限も、袋や容器を開けないで、書かれた通りに保存していた場合の安全やおいしさを約束したものです。一度開けてしまった食品は、期限に関係なく早めに食べるようにしましょう。
袋の日付は開ける前の数字です。 開けたあとは日付ではなく置き場所と状態で判断することになります。開封後は冷蔵に移す。これが今回の7つの案内から言える最大公約数です。
冷凍はできます。各社が日数まで書いています
生麹は冷凍が前提の商品として案内されています。
- マルカワみそ「その2 冷凍庫にて保存⇒3ヶ月ほど保存可能」
- 目黒麹店「冷凍保存の場合、3ヶ月程度」
- 鈴木こうじ店「冷凍保存での賞味期限は約半年程度」
ただし冷凍には代償があるとマルカワみそが書いています。
麹を冷凍庫で保存すると、麹の力価はどうしても下がってしまいます。
冷凍や解凍を何度も繰り返すと、その分麹がダメージを受けます。
解凍のしかたも各社そろっています。目黒麹店は「冷凍保存した場合は、よく自然解凍してからお使いください。」鈴木こうじ店は「解凍後の再冷凍は避けてください。」
小分けにして冷凍し、使う分だけ自然解凍する。 これが各社の案内をまとめた形になります。
使い切れないなら、塩を混ぜて常温に置く手があります
冷凍以外の道もマルカワみそが紹介しています。
その3 麹に塩を混ぜて保存⇒常温で4ヶ月ほど保存可能
昔から伝わる発酵食品のコツで、『塩切り麹』とも言われます。
塩を混ぜてしまえば常温で4か月。冷凍庫に空きがないときの現実的な逃げ道です。同じ発想を煮詰めたのが塩麹で、こちらは塩麹の賞味期限を市販5社で調べた記事にまとめています。塩麹には塩麹の期限があるので、混ぜたから無期限になるわけではありません。
賞味期限切れの米麹は食べられるのか
賞味期限切れの米麹をどうするか。ここが検索でいちばん多い質問です。管理栄養士として、線をはっきり引いて書きます。
農林水産省は賞味期限をこう定義しています。
袋や容器を開けないままで、書かれた保存方法を守って保存していた場合に、この「年月日」まで、「おいしく食べられる期限」のこと。
そして期限を過ぎた場合についても書いています。
この期限を過ぎても、すぐに食べられなくなるわけではありません。
つまり乾燥米麹の袋が未開封で冷暗所にあり、賞味期限切れから数か月。この条件なら「即座に危険」ではありません。ただし品質は落ちています。麹の力が弱っていれば、甘酒は甘くならず味噌は思ったように育ちません。
判断の順番はこうです。
1. 未開封か。開けてあるなら日付の意味は消えている
2. 乾燥か生か。生米麹は日数が短く、そもそも期限内でも早めに使う食品
3. 見てにおいを嗅ぎ、異常がないか
3で少しでも引っかかったら使わない。これが安全側の線です。
1年、2年過ぎた乾燥米麹はどうか
「賞味期限切れ 1年」「2年」で調べる人が多い数字です。7つの作り手の未開封の設定は最長でも1年なので、2年過ぎた袋は期限の2倍を超えています。農林水産省の定義のとおり、賞味期限切れの直後に危険になるわけではありません。ただし麹の力は確実に落ちていて、甘酒が甘くならない・味噌が育たないという形で出ます。
未開封でカビも異臭もなければ、失敗しても困らない用途に限って使い切る。 1年以上過ぎたものを大事な仕込みに使うのはおすすめしません。旧版のこの記事には「冷蔵1〜2年」という数字がありましたが、今回7つの作り手を調べても、そのような設定はどこにもありませんでした。
茶色くなっていても、劣化とは限りません
「米麹 茶色に変色」はよく検索されています。マルコメが答えています。
米こうじは温度が高くなると色や風味が変化することがありますが品質に問題ありません。
温度で色が変わるのは起きうる変化で、傷んだサインとは別物ということです。
一方で、常温に置いた生麹に起きる変化はマルカワみそが名前つきで説明しています。
『やけこうじ』と言いまして、麹カビの繁殖時の発熱によって、麹カビ自体が死んでしまいます。
これは安全性の話ではなく、麹の力が失われる話です。傷んだのではなく、使っても働かなくなる。生麹を冬場でも常温に置かないよう各社が念を押しているのはこのためです。
このサイトで扱ってきた味噌の色が濃くなる話や納豆の白いつぶつぶと同じで、変化がそのまま劣化を意味するとは限りません。
そもそも麹はカビではないのか
これも多い質問です。伊勢惣がまっすぐ答えています。
こうじとは「麹」や「糀」と書き、蒸した米や麦や大豆などの穀物にカビ菌の一種であるコウジカビの
種を撒いて繁殖させたものという説明です。カビの一種であることを否定していません。 そのうえで、こう続けています。
食べられるキノコと食べられないキノコがあるように、カビにも食べられるカビとそうでないカビとがあると言えるでしょう。
そしてこの菌の位置づけについても書いています。
古くから日本で食されてきた多くの発酵食品や調味料の原料であることから、こうじ菌は日本の “国菌” と言われております。
麹菌が実際に何をしているのかは米麹の栄養と酵素のはたらきで詳しく説明しています。米麹そのものの選び方は米こうじとはにまとめました。
夏は虫がわきます
期限の話に隠れがちですが、乾燥麹には別のリスクがあります。ムソーが保存方法の欄にこう書いています。
夏期は虫害防止のため、冷蔵が必要です
乾燥麹は乾いた穀物です。米びつに虫がわくのと同じことが起こります。伊勢惣が「夏場や長期保管の場合は冷蔵庫にて保存してください」と書いているのも、湿気だけの話ではありません。
同じ理屈は米そのものにも当てはまります。詳しくは米にカビ。洗えば大丈夫?虫がわいたら?にまとめています。
使わないほうがいいサイン
鈴木こうじ店が具体的に挙げています。
色や形が変わっている場合
酸っぱい臭いや異臭がする場合
表面にカビや水滴がついている場合
硬くなっている場合
そして、この一文が大事です。
加熱しても菌や毒素は完全に消えないことがあります。
酸っぱいにおい・カビ・水滴・かたまり。ひとつでもあれば使わない。 加熱すれば大丈夫という発想は、ここでは通用しません。もったいなさより優先すべき線です。
まとめ

- 乾燥米麹は未開封で半年〜1年。 ただし製造からの長さで、買った時点の残りはもっと短い
- 生米麹は冷蔵で1〜3週間。 同じ生麹でも社によって2倍以上ちがう。常温は数日
- 開封後の日数は7つの作り手とも確認できなかった。 袋の日付は開ける前の数字なので、開けたら冷蔵に移して早めに使う
- 冷凍はできる。 生麹で3か月〜半年が各社の目安。ただし麹の力は落ちる
- 塩を混ぜれば常温4か月(マルカワみそ)。冷凍庫に空きがないときの手
- 茶色い変色は高温による変化で品質に問題なし(マルコメ)
- カビ・異臭・水滴・かたまりがあれば使わない。 加熱しても毒素は消えないことがある
賞味期限切れの袋をどうするか。まず乾燥か生かを見る。次に未開封かを見る。最後に見てにおいを嗅ぐ。 この順番で決めれば、捨てすぎることも危ないものを使うこともありません。
食材別の保存と期限の答えは保存・賞味期限まとめにまとめています。同じ麹からできる調味料の期限は塩麹の記事と甘酒の記事をどうぞ。
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体調に不安がある方、持病のある方、妊娠中・授乳中の方、お子さんについては、このサイトのような一般的な情報だけで判断せず、かかりつけの医師や管理栄養士にご相談ください。この記事は各社の公開資料の整理であって、個別の指導ではありません。商品の仕様はリニューアルで変わることがあります。手元の商品の表示を優先してください。
出典
- 農林水産省「消費期限と賞味期限」 ※賞味期限の定義 ※期限を過ぎてもすぐ食べられなくなるわけではない ※開封後は期限に関係なく早めに
- 伊勢惣「こうじ」 ※生こうじと乾燥こうじの違い ※乾燥こうじの保存法 ※こうじ菌は日本の国菌 ※カビにも食べられるカビとそうでないカビがある
- 伊勢惣「商品一覧」 ※みやここうじ四角型200g 賞味期限1年 ※みやこ麹パウダー100g 賞味期限1年・開封後は冷蔵庫
- マルコメ「乾燥米こうじの保存方法」 ※直射日光を避け涼しいところで保存 ※温度が高くなると色や風味が変化するが品質に問題なし ※未開封でも冷蔵庫での保存をすすめる
- マルコメ「糀を使った商品の開封後の賞味期限は?」 ※賞味期限は未開封で正しく保管された場合の期限 ※乾燥米こうじの行は無い
- マルコメ 公式オンラインショップ「プラス糀 甘酒用 乾燥米こうじ 100g×8袋」 ※賞味期限 製造日から10か月
- コーセーフーズ「米こうじ(こうじや里村)」 ※賞味期限 製造日より12カ月(パッケージに記載) ※直射日光や高温多湿を避け常温で保存 ※生こうじは水分25%前後・乾燥タイプは10%以下
- ムソー「国内産米こうじ・白米」 ※賞味期限 開封前6ヶ月以上 ※開封後の欄は空欄 ※夏期は虫害防止のため冷蔵が必要
- マルカワみそ「麹の保存方法と保存期間」 ※冷蔵21日ほど ※冷凍3ヶ月ほど ※塩を混ぜて常温4ヶ月ほど(塩切り麹) ※常温保存できず10度以下が必須 ※やけこうじ ※冷凍で力価が下がる
- 目黒麹店「生米こうじ」 ※冷蔵で約20日・冷凍で3ヵ月程度 ※賞味期限にかかわらず早めに
- 鈴木こうじ店「生麹 期限」 ※冷蔵1週間〜10日・常温2〜3日・冷凍約半年 ※期限切れを見分ける4つのサイン ※加熱しても菌や毒素は完全に消えないことがある
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