スーパーの米売り場に「新米」の札が並び始めました。
今年は事情が少し違います。農林水産省が7月に出した需給の見通しでは6月末の民間在庫が243万トン。今年の生産見通し711万トンを足すと供給は954万トンで、需要の見通し693万〜711万トンを上回ります。新米が出回るのに、去年の米もまだ残っているという秋です。
そうなると袋を手に取って迷います。この「新米」はいつまで新米なのか。袋に「新米」と書いていないものは古米なのか?
答えは法律に書いてありました。ただし片方だけ。「新米」と書ける条件は食品表示基準で決まっていますが、「古米」の定義は法令に見当たりません。
先に答えを書きます
「新米」と表示できるのは、次のどちらかです。根拠は食品表示基準の第23条第2項第1号です。
- 収穫した年の12月31日までに袋詰めされた玄米
- 収穫した年の12月31日までに精米して袋詰めされた精米
条文の原文はこうです。
「新米」の用語(原料玄米が生産された当該年の十二月三十一日までに容器包装に入れられた玄米又は原料玄米が生産された当該年の十二月三十一日までに精白され、容器包装に入れられた精米を除く。)
これは表示禁止事項の条文で括弧の中が例外です。つまり「新米」は原則として書いてはいけない言葉で、12月31日までに袋詰めしたものだけが例外という作りになっています。

消費者庁のQ&Aが同じことを平たく書いています。
1 「新米」の用語は、食品表示基準第23条第2項第1号の規定により、表示禁止事項に該当し原則として表示できません。
農林水産省の消費者向けの説明も同じです。
容器包装などへの新米の表示は、食品表示法に基づいた食品表示基準で、表示禁止事項に該当しており、以下の場合を除き表示できません。
線は袋詰めの日で引かれています。 収穫日でも精米日でもなく袋に入れた日が12月31日までかどうかです。同じ令和8年産の米でも1月に精米して袋詰めしたものは「新米」と書けません。中身は変わらないのに袋の文字だけが変わります。
「古米」の定義は、法令を全部探しても見つかりませんでした
では新米でなくなった米は古米なのか。ここを調べて意外だったのは「古米」という言葉の法律上の定義が見つからないことでした。
e-Gov法令検索で全法令を全文検索すると「古米」「古々米」「古古米」はいずれも0件です。対照として「新米」を引くと食品表示基準が1件出てきます。消費者庁の食品表示基準Q&Aの玄米・精米の項(32ページ)を通して読んでも「古米」の語は一度も出てきません。
農林水産省が需給を数えるときに使ってきた区切りはあります。平成15年の基本指針の案にこうあります。
米の需要量については、これまで、米穀年度(前年11月から当年10月までの1年間)の期間をもって算出してきたが
ただしこの文書自体が、その先で6月末の在庫を起点にした7月から翌年6月への切り替えを提案しています。統計の都合で引かれた区切りで法令の定義ではなく、袋の表示とも関係がありません。つまり「古米」は業界と生活の中で使われてきた言葉で、袋に書く義務も、書ける条件も見当たりません。
この点は米の保存の記事を書いたときに引っかかっていたところでした。1年前の米は食べないほうがいいのかという問いに、古米という言葉では答えられません。古米・古古米という言葉に法的な線が無いのならその米が食べられるかどうかは呼び名ではなく保存の状態で決まります。
袋の裏を読めば、新米かどうかは分かります
「新米」の文字が無くても、袋の裏の一括表示を読めば中身は分かります。食品表示基準の別表第24が、玄米と精米の袋に書く事項を決めています。
| 項目 | 何が書いてあるか |
|---|---|
| 名称 | 「精米」「うるち精米」「玄米」など |
| 原料玄米 | 産地・品種・産年・使用割合 |
| 内容量 | グラムまたはキログラム |
| 精米時期 | 年月旬または年月日(玄米は「調製時期」) |
| 販売者 | 表示に責任を持つ事業者の名前と連絡先 |

見るところは2つです。「産年」と「精米時期」。
産年が「令和8年産」なら今年の米です。「新米」と書いてあるかどうかに関係なく、中身は今年収穫した米です。精米時期は新しいほど、精米してから時間がたっていません。
精米時期の書き方は令和2年の改正で変わりました。
玄米にあっては調製時期を、精米にあっては精米時期を、輸入品であって調製時期又は精米時期が明らかでないものにあっては輸入時期を年月旬又は年月日の順で表示する。
以前は「精米年月日」で日付まで書く決まりでしたが、今は「令和8年9月上旬」のように旬で書くことも認められています。日付が無くて驚く必要はありません。旧様式は令和4年3月31日まで使えたので、それ以前の袋と比べると書き方が違って見えます。
「複数原料米」の袋は割合を読む
袋によっては産年が1つではありません。産地・品種・産年がそろっている米は「単一原料米」と書き、そろっていない米は「複数原料米」などと書いて割合を併記する決まりです。
「複数原料米」等原料玄米の産地、品種又は産年が同一でない旨を表示し、その産地及び使用割合(原料玄米の製品に占める重量の割合をいう。以下同じ。)を併記する。
割合は「国内産 10割」のように書き、その次の括弧の中に産地・品種・産年を割合つきで書くことができます。産年が混ざっている袋は、ここを読めば何年産が何割か分かります。
もう1つ、割合が少ない米を大きく見せることは禁止されています。使用割合が5割未満の原料について、その産地・品種・産年を他より大きく書くことはできません(第23条第2項第2号)。袋の表に大きく書かれた産地や品種は、少なくとも半分以上入っていると読んでよい理屈です。
呼び方は「複数原料米」に限りません。消費者庁のQ&Aは「ブレンド米」「混合米」などでもよいとしています。
「複数原料米」のほか、「ブレンド米」、「混合米」、「多数原料米」、「多岐原料米」、「ミックス米」、「産地ミックス米」、「品種ミックス米」等表示と内容に矛盾がなく消費者に誤認を与えない用語であれば差支えありません。
産年を書くルールは2021年に変わりました
「産年」の表示には、以前は農産物検査法の検査を受けた米であることが要件でした。検査を受けていない米は「未検査米 国内産 10割」のような表示になり、産地も品種も産年も書けませんでした。
令和3年7月1日の改正でここが変わっています。
産地、品種及び産年(生産年をいう。以下同じ。)が同一である原料玄米を用い、かつ、当該原料玄米の産地、品種及び産年について根拠を示す資料を保管している原料玄米にあっては、「単一原料米」と表示し
検査の証明ではなく「根拠を示す資料を保管している」ことが要件になりました。 農家から直接買う米や小さな販売者の米でも、栽培記録などの根拠があれば産年を書けます。消費者庁の資料には「○○ライス(生産者名)確認による」という表示例が載っています。
産年の表示が無い袋は、根拠資料を持っていない米か、産年がそろっていない米のどちらかです。書けないのではなく書いていないだけ、という場合もあります。
買う側はこう読む
管理栄養士として、売り場で袋をどう読むかをまとめます。
1. 「新米」の札は12月31日で消える。 年が明けたら令和8年産でも「新米」と書けない。札が無いことと古い米であることは別
2. 産年を見る。 「令和8年産」なら今年の米。これが新米かどうかの実質的な答え
3. 精米時期を見る。 旬まででよいので、新しいものを選ぶ
4. 複数原料米なら割合を見る。 何年産が何割か、括弧の中に書いてある
5. 「古米」に法的な線は見当たらない。買ったあとは保存の状態で判断する
新米かどうかは「新米」の文字ではなく、産年と精米時期で読む。 これが表示のルールから言えるいちばん実用的な結論です。
新米と古米で栄養がどう違うか、水加減をどう変えるか、といった話には今回触れていません。公的な資料で確認できる範囲を超えるからです。買ったあとの保存と期限は米にカビ。洗えば大丈夫?虫がわいたら?にまとめています。
まとめ

- 「新米」と書けるのは、収穫した年の12月31日までに袋詰めした米だけ(食品表示基準第23条第2項第1号)。1月1日以降は同じ年の米でも書けない
- 「古米」の定義は法令に見当たらない。 e-Gov全法令検索で0件。農水省がかつて需給の算出に使った「米穀年度」も統計の区切りで、袋の表示とは無関係
- 新米かどうかは産年と精米時期で読む。 「令和8年産」なら今年の米
- 精米時期は「年月旬」でよい(令和2年改正・令和4年4月から完全移行)
- 複数原料米は割合を読む。 5割未満の原料を大きく書くことは禁止
- 産年の表示は2021年7月から「根拠資料の保管」が要件。 検査を受けていない米でも書ける
食材別の保存と期限の答えは保存・賞味期限まとめにまとめています。
この記事は法令と公的機関の公開資料の整理であって、個別の商品の品質を保証するものではありません。表示のルールは改正されることがあります。手元の商品の表示を優先し、疑問があれば販売者にお問い合わせください。
出典
- e-Gov法令検索「食品表示基準」(平成27年内閣府令第10号・令和8年4月1日施行版) ※第23条第2項第1号「新米」の用語 ※第23条第2項第2号 5割未満の原料の表示 ※別表第24 原料玄米・精米時期 ※附則(令和2年3月27日内閣府令第20号)経過措置 ※附則(令和3年3月17日内閣府令第10号)施行日
- e-Gov法令検索 法令API(全法令の全文検索) ※「古米」「古々米」「古古米」「米穀年度」はいずれも0件(2026年9月5日確認) ※「新米」は食品表示基準1件
- 消費者庁「食品表示基準Q&A 別添 玄米及び精米に関する事項」(令和8年4月1日版) ※玄米精米-38 新米の表示 ※玄米精米-27 複数原料米の呼び方
- 消費者庁「玄米及び精米に係る食品表示制度の改正について」(令和3年3月) ※農産物検査の証明から根拠資料の保管への変更 ※未検査米の改正前後の表示例
- 農林水産省 消費者の部屋「新米の表示の定義を教えてください。」 ※消費者向けの説明
- 農林水産省「米穀の需給及び価格の安定に関する基本指針」(令和8年7月) ※令和8年6月末民間在庫243万玄米トン、令和8年産生産見通し711万玄米トン、供給954万玄米トン、需要693万〜711万玄米トン
- 農林水産省「米穀の需給及び価格の安定に関する基本指針(需給見通し編)(案)」(平成15年7月) ※米穀年度(前年11月から当年10月までの1年間)の説明 ※同じ文書がこの区切りから7月〜翌年6月への切り替えを提案している
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