ダイエット方法はどれがいちばん結果が出るのか。日本の学会と日本人の研究で比べたら、方法の差より「3%」と「毎日測る」でした

糖質制限・脂質を減らす・朝を抜く・時間を区切る。ダイエットの方法は毎年増えます。

管理栄養士としていちばん多く受ける質問が「結局どれがいいのか?教えんかい!」です。

この記事では海外の流行ではなく、日本の学会のガイドライン(医療者向けにまとめた診療の指針)と日本人を対象にした研究だけで答えを組み立てます。

方法の差は6か月で小さく、1年でほぼ消えます。差が出るのは3%という目標の小ささと体重を毎日測って記録することでした。

目次

先に結論を

1. 目標は3〜6か月で現体重の3%。 日本肥満学会がいちばん強い推奨(Grade A・Level I。推奨の強さと根拠の確かさが、どちらも最上位という意味)にしている数字です。根拠は日本人3,480人のデータ

2. 糖質制限と脂質制限は6か月で同程度。12か月では効果が減る。 学会がメタ解析(たくさんの試験の結果をまとめて分析した研究)を引いてそう書いています。日本人の糖尿病患者さんを対象にした比較試験でも、6か月で差がついた糖質制限が1年後には並びました

3. 差を作るのは行動療法(食事の中身ではなく、測る・記録するといった行動を変える方法)。 学会は行動療法そのものを Grade A・Level I とし、体重を測って記録し見えるようにすると減量効果が上がると書いています

以下、1つずつ資料を示します。

目標の数字を、学会が先に決めています

日本肥満学会の「肥満症診療ガイドライン2022」は減量そのものを目的にしていません。

1. 減量は肥満症治療の目的ではなく、手段である。

そのうえで目標の数字を1つに絞っています。

5. 肥満症の減量目標は3〜6ヵ月で現体重の3%。

この「3%」は日本のデータから出た数字です。ガイドラインは経緯をこう書いています。

特に介入時の体重からわずかに3%減量させただけで、介入時と比較して、それぞれの病態について有意な改善が認められた

元になった研究は特定保健指導(健診でメタボと判定された人が受ける、国の生活改善プログラム)を受けた日本人3,480人の6か月のデータ(Muramoto 2014)で、結論は肥満・過体重の日本人で健康指標が改善するのに必要な最小の減量は3%というものでした。

日本肥満学会の減量目標を示した図。目標は3〜6か月で現体重の3%。体重70kgなら2.1kg、80kgなら2.4kg。根拠は日本人3,480人の特定保健指導データで、3%減で血糖・血圧・脂質・尿酸・肝機能の指標が有意に改善した

体重70kgなら2.1kg。80kgなら2.4kg。 10kg落とすという目標とは桁が違います。厚生労働省のe-ヘルスネットも同じことを一般向けに書いています。

3~4%の緩やかな減量でも、検査値の異常は改善するといわれています。

特定保健指導の主要達成目標も「腹囲2cm・体重2kg減」です(厚生労働省・第4期の見直し)。特定保健指導なんて意味ない、と思っている人への記事で書いたとおり、国の指導もこの小さな数字を狙っています。

糖質制限と脂質制限、学会はどう書いているか

方法の話に入ります。ガイドラインの食事療法の節は、栄養素の比率をまず一般論として示しています。

各栄養素のバランスとしては、指示エネルギーのうち、炭水化物50〜65%、蛋白質13〜20%、脂肪20〜30%とするのが一般的である。

そのうえで糖質制限に触れています。

2020年のメタアナリシスでは、糖質制限食、脂肪制限食は通常のエネルギー制限食より減量効果が大きいこと、糖質制限食と脂肪制限食による6ヵ月間の減量効果が同程度であることが報告された。しかし、いずれの食事療法においても12ヵ月間の減量効果は減退していた。

糖質摂取制限の短期的な減量効果は報告されているものの、長期的な有効性を示すエビデンスはない

糖質制限と脂質制限は6か月で同程度。12か月で両方とも減退。

これが日本の学会の現在の立場です。学会はこの先で「患者の年齢、身体活動量、合併症の状態、嗜好性などに応じて柔軟に対処する必要がある」と続けています。1日1,000kcal未満まで極端に減らす超低エネルギー食(VLCD)についても同じ書き方で、比較相手は通常の低エネルギー食(LCD)です。

1年後では両治療食の減量効果には差がみられなかった

糖尿病学会のガイドライン2024も方向は同じです。炭水化物制限は「6~12ヵ月以内の短期間であれば」有効(推奨グレードB。Aより一段弱い推奨)としてこう添えています。

日本人において低炭水化物食の効果を検討した研究は非常に少ない

日本人の患者さんの比較試験で、6か月の差が1年後に消えました

その「非常に少ない」研究の中に、同じ人たちを1年後まで追った試験があります。

順天堂大学のグループが血糖コントロールの悪い日本人2型糖尿病66人を、くじ引きで1日130gの糖質制限食とエネルギー制限食(総カロリーを減らす従来型の食事)の2つに分けて6か月比べました(Sato 2017・Clin Nutr)。このくじ引きで分ける試験をRCT(ランダム化比較試験)といい、食事法の効果を調べる方法としてはいちばん信頼されている形です。6か月時点ではBMI(体格指数。体重kg÷身長m÷身長m)の減少が糖質制限群で大きく、統計的にも偶然とは言えない差でした。糖質制限が勝った形です。

ところが同じ人たちの1年後を追った続報(Sato 2017・PLoS One)では、両群のBMIとHbA1c(ヘモグロビンA1c。過去1〜2か月の血糖の平均を示す検査値)に差がなくなっていました。

One year after the diet therapy intervention, the beneficial effect of the LCD on reduction of HbA1c and BMI did not persist in comparison with CRD.

※訳: 食事療法を終えて1年後、エネルギー制限食(CRD)と比べて、糖質制限食(LCD)がHbA1cとBMIを下げた効果は続いていなかった。

日本人2型糖尿病66人のRCTの結果を示した図。6か月時点では1日130gの糖質制限食がエネルギー制限食よりBMIの減少が大きかったが、1年後の追跡では両群に差がなくなっていた

6か月で勝った方法が、1年後には引き分けになる。 対象は血糖コントロールの悪い2型糖尿病の患者さんに限られるので、一般の人にそのまま当てはめることはできません。それでも学会がメタ解析を引いて書いている「12ヵ月で減退」と同じ形が、日本人を対象にした試験でも見られたということです。血糖の話はこの記事では扱いません。体重の推移だけを読んでください。

なお緩やかな糖質制限を36か月続けた日本人の観察報告(Sanada 2018)もありますが、比べる相手のグループを置かずに経過だけを見た観察研究です。続けた人にこういう経過が見られたという報告までで、方法の優劣を言う資料ではありません。

時間制限食(1日のうち食べる時間帯を8時間などに限る方法。16時間断食とも)はどうか

日本人を対象にした研究は、若い人の小さな試験が出始めた段階です。広島大学のグループが健康な若い女性24人を8週間追った試験があります。食べる時間帯を8時〜14時に限る群・12時〜18時に限る群・制限なしの群に分けたところ、早い時間帯の群で体重が−2.61kg減ったという報告です(Yu & Ueda 2025)。

ただし24人・8週間・若年女性で、続けるとどうなるかも中高年でどうかも分かっていません。日本人についてはまだ答えを出せる段階にない、が正直なところです。

差を作るのは方法ではなく、測ることでした

ここからがこの記事でいちばん伝えたいところです。ガイドラインが最も強いグレードをつけている項目は、食事法ではなく行動療法です。

1. 肥満症治療において行動療法は有用である。

これが Grade A・Level I です。その具体策として、体重をグラフに書いていく体重日記(Grade B・Level III)と、スマホアプリなどで体重を記録するモバイルツールでのモニタリング(Grade B・Level I)が並んでいます。そして体重測定についてはっきり書いています。

体重を測定した場合には、それを記載し、視覚化すると減量効果が上がることが実証されている。

48件の体重測定の介入試験のうち、毎日の測定を推奨したものは48%(23件)

毎日の測定を推奨したものが一番多かったことが報告されている

測るタイミングも決めています。

測定の簡略化をはかるとすれば、起床直後の1回を推奨する。

日本人の比較試験でもこれが出ています。京都医療センターのグループが40〜69歳の男性78人を、特定保健指導にアプリを足す群と通常の群にくじ引きで分けて3か月比べました。アプリ群は毎日体重を測った人の割合がはっきり高く、体重の変化(中央値。全員を並べたときの真ん中の人の値)は通常群の−0.4kgに対して−1.1kgでした(Sakane 2023)。

体重を測って記録することの効果を示した図。日本肥満学会は行動療法をGrade A、記載して視覚化すると減量効果が上がると明記、48件の介入試験のうち毎日測定の推奨が最多の48%、測るなら起床直後の1回、日本人78人のRCTでは毎日測る群の体重減が大きかった

どの方法を選ぶかより、毎朝1回体重を測って記録するかどうかのほうが、日本の資料では差がついています。

このサイトで扱った一晩で体重が2kg増えた話も、毎日同じ条件で測っていたから原因を切り分けられました。測っていなければ「太った」で終わっていたはずです。

管理栄養士として、どう選ぶか

資料を並べて分かることを選び方の順番にします。

1. 目標を3%にする。 70kgなら2.1kg。3〜6か月。ここを大きくすると続かない

2. 方法は続けられるものを選ぶ。 糖質制限でも脂質制限でも6か月の結果は同程度。学会は「嗜好性などに応じて柔軟に」と書いている。好きな主食を抜く方法はあなたには向かない可能性が高い

3. 毎朝1回、起床直後に測って記録する。 方法より効果の差が大きい要素

4. 1年で効果が薄れることを前提にする。 学会のガイドラインも日本人の比較試験もその方向を示している。薄れたときに方法を責めるのではなく、測って記録する習慣が残っているかを見る

糖質制限のいいところだけを話す人に会ったときの話は糖質制限で体重は減る。それでも、いいところしか話さない人の話は聞き流していいに書きました。

まとめ

ダイエット方法の比較のまとめ。目標は3〜6か月で3%、糖質制限と脂質制限は6か月で同程度で12か月で減退、日本人RCTでも6か月の差が1年後に消えた、時間制限食は日本人ではまだ小規模、差を作るのは体重を毎朝測って記録すること
  • 目標は3〜6か月で現体重の3%(日本肥満学会・Grade A)。根拠は日本人3,480人
  • 糖質制限と脂質制限は6か月で同程度、12か月で減退(同ガイドラインが引くメタ解析)
  • 日本人の糖尿病患者さんの比較試験でも6か月の差は1年後に消えた(Sato 2017)
  • 時間制限食は日本人では若年・小規模の報告のみ(Yu & Ueda 2025)
  • 行動療法(測る・記録する)がGrade A。 体重を測って記録し見えるようにすると減量効果が上がる
  • 測るなら起床直後の1回。 日本人78人の比較試験でも毎日測る群の減量が大きかった(Sakane 2023)

方法を探すのをやめて、明日の朝から体重計に乗る。日本の資料が言っているのはそれだけです。


この記事は学会ガイドラインと公開されている研究の整理であって、個別の指導ではありません。研究の対象は肥満症や2型糖尿病の患者さんを含み、結果がすべての人に当てはまるわけではありません。持病のある方、通院中の方、妊娠中・授乳中の方は、かかりつけの医師や管理栄養士にご相談ください。

出典

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