醤油は冷蔵庫に入れる?入れない?メーカー6社を調べたら容器で答えが逆になりました

普段あなたは醤油をどこに置いていますか?

冷蔵庫のドアポケットか それとも調味料と一緒に常温の棚か?

ネットで調べると「開封したら冷蔵庫」と出てきます。一方で密封ボトルは常温で保管するよう書かれた商品もあります。どちらが正しいのか?

メーカー6社の公式Q&Aを読んで並べました。結論を先に言うと、答えは容器で逆になります。 ペットボトルや瓶なら冷蔵庫。密封ボトルなら常温です。しかも冷蔵庫に入れないよう書いている会社が2社ありました。

この記事では各社の記載を並べて 揃っているところと割れているところを分けます。

目次

先に 賞味期限は「未開封」の数字です

農林水産省の定義では、賞味期限は「袋や容器を開けないままで、書かれた保存方法を守って保存していた場合に、この「年月日」まで、「おいしく食べられる期限」のこと」です。

開けた時点で パッケージの日付は目安として使えなくなります。キッコーマンは「『開栓後の使用期間目安』は、賞味期限内であることを前提にしています」とこの点をはっきり書いています。賞味期限そのものは未開栓の商品をパッケージの条件で保存した場合の期限で、過ぎたからといってすぐに食べられなくなるわけではないとも説明しています(詳しくは後の章で扱います)。

開封後の目安は6社でこう割れた

日数を明記していた6社を並べます。

会社容器置く場所開封後の目安
ヤマサ醤油(指定なし)冷蔵庫一ヵ月くらい
正田醤油(指定なし)冷蔵庫1ヶ月位
フンドーキン醤油(指定なし)冷蔵1ヵ月くらい
盛田(マルキン)(指定なし)冷蔵1ヶ月程度
キッコーマンペットボトル冷蔵約2ヵ月間
キッコーマンやわらか密封ボトル(200ml)常温90日間
キッコーマン密封ecoボトル(330・450・620ml)常温120日間
イチビキ商品の表示による商品の表示による2〜3ヶ月
醤油の開封後の目安をメーカー6社で比較した図。ヤマサ・正田・フンドーキン・盛田は冷蔵で1か月、キッコーマンはペットボトルが冷蔵2か月で密封ボトルは常温90〜120日、イチビキは2〜3か月

冷蔵で1か月が4社。ここがいちばん多い答えです。代表してヤマサ醤油の原文を引きます。

  • ヤマサ醤油「使用後はきちんと栓をし、冷蔵庫に保存して一ヵ月くらいで使い切ることが、しょうゆのおいしさを保つポイントです」

正田醤油・フンドーキン醤油・盛田(マルキン)も同じ趣旨で、いずれも冷蔵庫で保管し1ヶ月くらいを目安に使い切るよう案内しています。

キッコーマンだけは容器ごとに表で示していて、ペットボトルは冷蔵で約2ヵ月間。イチビキは2〜3ヶ月で、冷蔵を前提にした社の中ではいちばん長い数字です。

イチビキは同時に「必ず冷蔵保存する商品、できるだけ冷蔵保存する商品、常温保存の商品があるため、開封後の保存方法については商品の表示をご確認ください」と付け加えています。

日数より先に、手元の容器がどれなのかを見る。 これが各社に共通する前提です。

密封ボトルは冷蔵庫に入れないでください

ここがこの記事でいちばん大事なところです。

近年増えている二重構造のボトル(キッコーマン「いつでも新鮮」、フンドーキン「新鮮密封ボトル」など)は、開けても中身が空気に触れません。だから常温で置けます。

キッコーマンは「『いつでも新鮮』シリーズの商品は、開栓してもしょうゆが空気に触れない2重構造のボトルのため、常温保存が可能です」と説明しています。

フンドーキンの新鮮密封ボトルも開栓後の液が空気と触れない二重構造で、同じ理由を挙げています。「このことによって、食品劣化の主な原因の1つである『酸化』が抑制され、開栓後も常温保管が可能となりました」。

問題はここからです。冷蔵庫に入れたときに何が起きるかを、2社が書いています。

正田醤油は、瓶やPETボトルの醤油は従来開栓後要冷蔵が常識だったが密封ボトルは常温で保管するよう案内したうえで、こう説明しています。「冷蔵庫で保管すると、特に夏場などは温度差で結露し、密封ボトルの吸気口をふさいでしまい、キャップを開けた時に中身が噴き出てしまうことがあります」。

フンドーキンも、新鮮密封ボトルは二重構造の容器であるとしたうえで「冷蔵庫から出してお使いいただく際、温度変化によって内部の圧力に変化が生じ、キャップを開けた途端に噴き出したり、液漏れしたりすることがあります」と説明しています。

なおフンドーキンは品質そのものについては「開栓後に冷蔵庫で保管してもボトル内のしょうゆの品質に問題はありませんが」と書いたうえで、常温を勧めています。傷むからではなく、噴き出すからという理由です。

醤油の容器による保存の違い。ペットボトルや瓶は開けると空気に触れるので冷蔵、二重構造の密封ボトルは空気に触れないので常温。冷蔵庫に入れると結露や圧力変化で噴き出すことがある

「醤油は冷蔵庫」と覚えていると、この2社の注意にぶつかります。容器の表示を見るのが唯一の正解です。

白い膜が浮いた。これは何か

開けた醤油の表面に白い膜が張ることがあります。3者が説明していて、答えは揃っています。

  • イチビキ: 白い膜や白い浮遊物は産膜酵母という菌の一種で、開封後にしょうゆのアルコール濃度が下がると空気中の酵母菌が入って浮いてきます。「体に害はありませんが、しょうゆの風味や味は落ちていますので、火を通して、早めに使用されることをおすすめします」
  • ヤマサ醤油「しょうゆの表面に生える白いカビは、産膜酵母菌という好塩性の酵母菌の一種です。体内に入っても有害なものではありません」
  • しょうゆ情報センター: 白いものはカビと見えても実際は酵母の一種で「健康に害はないので、ペーパータオルなどで濾せば、使うことができます。ただし、風味は落ちているので、火を通して早めに使ったほうがいいでしょう」

害はない。ただし風味は落ちている。こして加熱して使う。 3者ともここは同じです。

ヤマサ醤油は具体的な手順まで書いています。

カビが生えてしまった場合は、まず布でこしてカビを取り除き、鍋に移して加熱殺菌します。

味噌の表面に出る白い膜も産膜酵母でした(味噌の記事では3社が同じ説明をしています)。醤油と味噌で、同じものが出ているということです。

しょうゆさしに移した分は別に考える

イチビキが見落としやすい注意を書いています。しょうゆさしに移したしょうゆはアルコールが飛びやすく、空気中の菌が繁殖しやすい状態になるとしたうえで「しょうゆさしは、継ぎ足さずにこまめに洗浄、煮沸消毒して完全に乾燥してからしょうゆを入れ、冷蔵庫で保管してください」と案内しています。

継ぎ足さない。 卓上のしょうゆさしはボトルとは別のものとして扱う必要があります。

色が黒くなるのは腐ったからではない

開封後に色が濃くなるのは各社が説明していて、原因は化学反応です。

キッコーマン「一般的にしょうゆは、製造後の時間の経過とともにメイラード反応が進行し、色が濃くなることがございます」。しょうゆ情報センターも同じ反応を物質名で説明していて、アミノ酸と糖からメラノイジンという物質がつくられ、それが酸化することで色が濃くなるとしています。

正田醤油は「賞味期限内であれば色が黒ずんでいてもご使用には差し支えありません」と明言しています。風味は落ちているのでかけ醤油よりも他の調味料で調整できる煮物などへの利用を勧めています。

味噌が色濃くなるのも同じメイラード反応でした。大豆を発酵させた調味料に共通して起きる変化です。

賞味期限が過ぎた醤油はどうか

ここは6社の答えがきれいに揃いました。

  • キッコーマン「しょうゆは保存食品であるため、賞味期限を過ぎてもお体にさわることはございません。ただし、本来のおいしさを味わっていただくことが難しくなります」
  • ヤマサ醤油: 腐敗や変敗の恐れがないので一般の食品に比べ長く使用できるとしています
  • 正田醤油: 保存食であるため賞味期限を過ぎてすぐに腐敗したり品質が劣化することはないとしています
  • ヒガシマル醤油: 期限を過ぎてもすぐに使用できなくなるわけではないが、色目や香りは変化するので期限内を勧めています
  • フンドーキン醤油: おすすめはしていないが賞味期限を過ぎても食べることはできるとしています
  • イチビキ「賞味期限を過ぎたら、すぐに腐ったり体に害があったりすることはありませんが、味や香り、色といった品質が落ちてくるため」、期限内に食べることをすすめています

体に害はない。ただし味は落ちる。ここが6社で一致しました。これは他の食材ではめずらしいことで、納豆では「害はない」と言い切る会社は5社中1社でした。醤油は塩分が高く、そもそも保存食として作られているという事情があります。

風味が落ちた醤油の使い道を、ヤマサ醤油が具体的に書いています。「焼き肉のタレやつくだ煮のような煮詰める料理、あるいは、みりんやだしと一緒に煮物などに使うと、風味の劣化もさほど気にならなくなるでしょう」。

かけ醤油から煮物用に回す。捨てる前にできることがあります。

未開封の期限は種類と容器で違う

正田醤油が具体的な数字を公開しています。

種類ペットボトルガラスビン
こいくち18ヶ月24ヶ月
うすくち12ヶ月18ヶ月
しろしょうゆ8ヶ月

ガラスビンのほうが長い。 うすくちはこいくちより短く、しろしょうゆはさらに短い。理由は正田醤油も書いていないので、ここでは触れません。同じ「醤油」でも倍以上の差があります。

なおこの数字は正田醤油の商品のものです。他社は未開封の月数を公開していませんでした。

常識が変わったのは、容器が変わったから

各社の理由を並べると筋が通ります。冷蔵を勧める理由は酸化、つまり中身が空気に触れることです。密封ボトルが常温でよい理由は、開けても空気に触れないこと。醤油は冷蔵庫という常識は、容器が空気を通すことを前提にした話でした。前提が変わったので、答えも変わっています。正田醤油が自社の説明の中で、以前は開栓後要冷蔵が常識だったと書いているとおりです。

ここから買い方にもつながります。使い切るのに時間がかかる家庭なら、開けても酸化しない密封ボトルを選べば置き場所に悩みません。よく使う家庭なら、大きい容器を冷蔵庫に入れるほうが割安です。保存の手間は、買う時点でほぼ決まっているということになります。

まとめ

醤油の保存と賞味期限のまとめ。開封後は冷蔵で1か月が4社、密封ボトルは常温で冷蔵庫に入れると噴き出すことがある、白い膜は産膜酵母で害はない、色が濃くなるのはメイラード反応、期限切れは体に害はないが味は落ちるで6社一致
  • 答えは容器で変わる。 ペットボトルや瓶は冷蔵、二重構造の密封ボトルは常温
  • 開封後の目安は冷蔵で1か月が4社(ヤマサ・正田・フンドーキン・盛田)。キッコーマンはペットボトルで約2か月、イチビキは2〜3か月
  • 密封ボトルを冷蔵庫に入れると噴き出すことがある(正田・フンドーキン)。傷むからではなく容器の構造の問題
  • 白い膜は産膜酵母。害はないがこして加熱する(イチビキ・ヤマサ・しょうゆ情報センター)
  • 色が黒くなるのはメイラード反応。 賞味期限内なら使える(正田)
  • 期限切れは体に害はないが味は落ちる。ここが6社一致。 煮物や焼き肉のタレに回す

醤油は「冷蔵庫に入れるもの」と一括りにできません。手元のボトルの表示を見る。それがこの記事の結論です。

同じ大豆の発酵調味料である味噌の保存は味噌の賞味期限にまとめています。

日常的に使う醤油ですが、表示されている賞味期限が長いのであまり気にしていなかった人もいるかも知れません。風味が落ちると言ってもそこまで急激に落ちるわけでないので判断が難しいかもしれませんが捨てるか一気に使い切るかの判断の参考に慣れてばと思っています。


体調に不安がある方、持病のある方、妊娠中・授乳中の方、お子さんについては、このサイトのような一般的な情報だけで判断せず、かかりつけの医師や管理栄養士にご相談ください。この記事は各社の公開資料の整理であって、個別の指導ではありません。商品の仕様はリニューアルで変わることがあります。手元の商品の表示を優先してください。

出典

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この記事を書いた人

なびのアバター なび 管理栄養士

管理栄養士。栄養相談や特定保健指導の現場で、生活の事情を聞かれないまま数字だけで判断される場面を何度も見てきました。「がんばらずに、ちゃんと食べる」を基準に、コンビニでも選べる目安と、続けられる形を書いています。断定的な効果はうたわず、数字は必ず出典を添えます。記事の根拠や編集方針は運営者情報のページにまとめています。

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