【ダイエット中に起きた悲劇】運動頑張って食べる量を減らしていたのに一晩で体重が2kg増えて絶望した話

ダイエットを始めて順調に進んでいる。少しずつだが体重が減ってきて体重計に乗ることも習慣化してきたある日…

朝、体重計に乗ったら昨日より2kg増えていた。

食べすぎた覚えはない。むしろ節制していたのに。

——この理不尽、経験ありませんか?

「もう測りたくない」となる、あの瞬間です。

これは先週のぼくに実際に起きました。しかも減量の記録を毎日つけている最中に、です。今日はその一部始終を、実測データごとお見せします。結論だけ先に言うと、増えた2kgの犯人は脂肪ではありませんでした。

とは言え、体重計は確実に一夜にして2kg増えた数字を示していました。この恐怖をあなたにもお伝えするとともに、体重増加の一例として知識を持っておきたいと思い書き残します。

目次

何が起きたか: 3日で323km走った、その2日後

ぼくは今年の夏から減量をしていて、体重・腹囲・食事ルールの記録を毎朝つけています(入力が面倒だと続かないので、20秒で記録 +AIに相談できる自分用のアプリを作りました)。開始時77.0kg。1か月ほどかけてゆるやかに75kg台前半まで来ていました。

そこに夏のイベントして趣味の自転車旅が入ります。3日間で93km・140km・90km、合計323km。大体一日8~10時間自転車を漕ぐという個人のイベントです。

旅の前日の朝は75.2kgでした。そして旅が終わった翌朝の体重は75.8kg。記録にはこう書いています。

体重が減ってないことにびっくり!

3日で323km走ったのに減っていない?

それどころか前日より0.6kg増えています。この時点で少し不思議でした。ところが本番はその翌朝です。

77.7kg。前日から+1.9kg。

昨日は普通に過ごしただけなのに体重が2kg増えたことに衝撃。特に変わったことはしてないはずだが

旅のあとは普通の食事に戻しただけ。なのに一晩で2kgの増量…何が起きたか分かりませんでした。食事量、水分量などで思い当たるフシがなかったのです。

軽くパニックになりました。

まず体重計の故障を疑って、再起動して、水を入れたペットボトルを乗せて重さを確かめました。体重計は正常でした。

当時、この数字を相談したチャットには「食べすぎたわけでもないのに2kgの上昇は精神的に来ています」と書いています。数字を毎日見ている人ほど、この落ち込みは分かってもらえると思います。

「脂肪が増えた」では説明がつかない

落ち着いて、手元の記録と突き合わせました。「脂肪が2kg増えた」という説明は、3つの事実と両立しません。

1つ目。食べた量が普通だった。 記録上、旅のあとの2日間に食べすぎの申告はありません。それどころか3日間の旅の消費は、アプリの概算でおよそ9,700kcalのマイナスでした。

そして栄養指導で使う目安では、体脂肪1kgはおよそ7,000kcalに相当します。1.9kgを脂肪で増やすには1万3,000kcalを超える食べすぎが必要な計算で、ごはんに換算すると茶碗50杯を超えます。1日では物理的に無理です。

2つ目。腹囲が1mmも動いていない。 体重が77.7kgだったその朝、へその高さで測った腹囲は旅の前と同じ値でした。お腹まわりに2kgぶんの実体があるなら、ここが動かないのはおかしい。

3つ目。直前に3日で323km走っている。 増える理由がないどころか、大きく減る側のイベントの直後です。

では、何が増えたのか。

犯人は水。しかも2種類

前提として脂肪は一晩で2kgも増えたり減ったりしません。 一晩で2kg動かせるのは水だけです。今回は水が増える仕組みが2つ重なっていました。ただ、これは理論だけ知っていてもなかなか納得できないかもしれません。

しかし、こういう実例があるということは頭のすみにっこにでも置いといてください。いずれもあなたも似たような悲劇が起きた時に考える仮説の一つになります。

その1: グリコーゲンは水と一緒に貯まる

筋肉のエネルギータンクであるグリコーゲンは、1gにつき約3gの水と一緒に筋肉へ貯蔵されることが、実験で確かめられています(Fernández-Elíasさんら、2015年)。持久トレーニングを積んだ9人に暑い環境で150分自転車をこいでもらい、回復期の筋肉を直接採取して調べたもので、水分を多く補給した条件では1:17という比率まで観察されています。

323kmの旅でこの筋肉のエネルギータンクはほぼ空になっていたはずです。つまり旅直後の75.8kgは「タンクが空の状態の体重」でした。そこへ普通の食事が入ると、体は「枯渇からの回復モード」でグリコーゲンを再充填します。特別に食べすぎる必要はありません。普通に食べるだけでグリコーゲン+その3倍の水が体に戻ってくる。

減っていなかったのではなく、空のタンクぶん軽くなった数字を「減っていない」と読んでいたわけです。

その2: 激しい運動のあと、体は血液の水分を増やす

もうひとつ。

運動の直後から、血管の外の水分やたんぱく質が血管内へ移動して血液の液体成分(血漿)が急に増えることが知られています。そして持久運動が続くと、体は血液量そのものを増やす方向に適応します(Convertinoによる1991年のレビュー)。この過程で体は水分をため込む側に舵を切るので、水分摂取が増え、尿の量は減る方向に働きます(アルドステロンというホルモンを介した仕組みです)。

実はこの日、ぼく自身の記録に「尿量は体感で少ない」「手がむくんでいる」という観察が残っていました。あとから文献と突き合わせると一致していたことになります。

予測を立てたらそのとおりに戻った

原因が水なら予測が立ちます。数日で尿として抜けて、体重は旅の前の水準(前日の朝で75.2kg)に戻るはず。 腹囲は動かないまま。

実際の経過がこれです。

36日間の体重推移の折れ線グラフ。自転車旅のあと75.8kgから一晩で77.7kgに跳ね、5日かけて75.2kgまで戻る山が見える。腹囲は88.0cmで一定
体重記録より
旅終了の翌朝75.8kg「減ってないことにびっくり!」
+2日目77.7kg「普通に過ごしただけなのに」
+3日目76.6kg「筋肉修復のために水分が溜まっていたのを実感。まだ手の指は浮腫気味」
+4日目75.7kg「水が溜まるのを体感できた」
+6〜7日目75.3→75.2kg旅の前日と同じ75.2kgに戻って決着

一晩で増えた1.9kgは、5日かけて抜けて、旅の前日と同じ75.2kgに着地しました。指先のむくみの自覚も、それと一緒に消えています。腹囲は最初から最後まで88.0cmのままでした。この旅では実質的には体重減少にはつながっていないというショックな結果でした。3日間自転車漕ぎまくったのにコレは悲しいですが、その分筋肉量が少し増えたんだと自分に言い聞かせておきます。

夏のバスケでも同じことが逆向きに起きていた

じつはこの記録を始めた最初の週にも似たことがありました。夏の体育館でバスケをした日の翌朝、体重が一気に74.6kgまで落ちたのです。開始から6日で-2.4kg。喜びかけましたが、記録にはこう書いていました。

流石に水が抜けただけと思う変動。かなり水は飲んだが夏場のバスケ恐るべし

そのとおり、2日後には76.6kgに戻りました。夏の激しい運動1回で、体重は1.5〜2kg平気で動きます。 減った側に動けば「減った!」と喜び、増えた側に動けば「増えた…」と落ち込む。どちらも中身は水です。

面白いのは腹囲です。直近の記録の最終日の記録ではバスケで水が抜けたと思われる朝(体重は74.7kgまで落ちていました)に測っても、腹囲は88.0cmから動きませんでした。記録には「水が抜けたであろう状態で腹囲を測っても変わらないので新しく発見」と書いています。体重が水で振れる日でも、腹囲は水のノイズをほとんど拾わない。自分の体で測って初めて腑に落ちた発見でした。

今後はどうするか?

この36日間で決めた運用は3つです。

1. 一晩の増減で昨日の自分を採点しない。 昨日の食事の答え合わせを今朝の体重でやると水の動きに採点されます。体重計が量っているのは脂肪だけではなく、今日の水の量込みの数字です。

2. 判定は日々の値ではなく傾きで見る。 ぼくは全期間の記録から引いた回帰直線(傾向線)だけを合否判定に使っています。この方式だと77.7kgの朝もグラフの傾きはほぼ動かず「順調」の判定のままでした。単純に7日間の平均を見るだけでも一晩の水にはかなり強くなります。 ※ちょっとややこしいですがAIでアプリを作るとこんな事もできます。

3. 激しい運動のあと数日は体重を参考値扱いにする。 長時間の運動をした直後から数日間はタンクの再充填と血漿の増加で体重が字義どおり「水増し」されます。この期間の数字で一喜一憂するだけ損です。

体重が信用できない期間の代打は腹囲です。動きは月単位でしか出ませんが、水には振り回されません。


これは身長169cm・30代後半の男性1人の記録で、同じことが誰にでも同じ幅で起きるという話ではありません。急な体重増加がむくみとして続く場合や、心臓・腎臓・肝臓の持病がある方は、この記事のような一般論で判断せず医療機関にご相談ください。妊娠中の方、成長期のお子さんも同様です。

あなたも同じことが起きるかも?

ぼくの場合は普通の人はやらないレベルのチャリ旅を行いました。3日間で300km超えの行程です。しかも夏場なのでしっかりと足も攣りましたし、空腹でフラフラするような状態でひたすら自転車を漕いでいました。

普通ならかなり痩せるかと思いましたが、実際には終了後に体重爆増だったはまさに恐怖でした。

この強度のことをあなたに直接落とし込むことは現実的ではないと思います。しかし、もしも運動習慣のない人が1時間頑張って走り、翌日バリバリ筋肉痛になってこれは痩せただろと思った矢先に体重が爆増してたらショックじゃないですか?

せっかく頑張ったのに逆効果なんて…

今ではAIに相談することで原因を探ることはできると思います。仮説を立ててくれます。だから、あなたも運動頑張ったのに体重が爆増した時の一つの例としてこういうことがあるということを知っておいてください。水分量が増えただけの現象に対して少しでもパニックになる人が減りますように。

まとめ

一晩で2kg増えた体重のまとめ図。脂肪は一晩で2kg増えない、犯人はグリコーゲンと共に貯まる水と血漿の増加、数日で尿として抜ける、腹囲は水に振り回されない、判定は傾きで見る

出典

本文の体重・腹囲・引用について

  • 体重・腹囲・「」内の言葉は、筆者自身の記録アプリに残した36日間の実データと当日のメモ、および当時AIに相談したチャットの逐語記録です(2026年7月〜8月)。体重計の動作確認(再起動とペットボトルでの検証)も当時の記録に残しています。カロリー収支は運動時間とメッツからの概算値です

一次資料(論文)

  • Fernández-Elías VE, Ortega JF, Nelson RK, Mora-Rodriguez R. Relationship between muscle water and glycogen recovery after prolonged exercise in the heat in humans. Eur J Appl Physiol. 2015;115(9):1919-1926. doi:10.1007/s00421-015-3175-z / PubMed (PMID: 25911631) ※持久トレーニングを積んだ9人が暑熱環境(33±4℃)で150分の自転車運動を行い、回復期に筋生検で実測。グリコーゲン1gあたり少なくとも3gの水が筋肉に貯蔵された(回復比1:3)。水分を十分に補給した条件では1:17。「グリコーゲンは水と1:3で貯蔵される」という長年の通説を支持する結果と著者が明記
  • Convertino VA. Blood volume: its adaptation to endurance training. Med Sci Sports Exerc. 1991;23(12):1338-1348. PubMed (PMID: 1798375) ※持久トレーニングへの適応としての血液量増加(hypervolemia)のレビュー。運動直後には血管外から血管内への水分・たんぱく質の移動による急速な血漿増加があり、継続的なトレーニングでは体液の正味の増加として定着すると整理している。体液の正味の増加は水分摂取の増加と尿量の減少を伴い、その機序としてアルドステロン感受性の亢進による腎でのナトリウム再吸収増加を挙げている

公的資料

  • 厚生労働省 第6回特定健康診査・特定保健指導の在り方に関する検討会 資料「腹囲(ウエスト周囲長)に関するエビデンス」(2016年) ※「臍レベルで測定した腹囲(ウエスト周囲長)の基準値が男性85cm,女性90cmと定められた」

注記: 「体脂肪1kg≒約7,000kcal」は栄養指導の現場で広く使われている目安です。一晩の体重変動の解釈はこの記事の実測経過に基づく筆者の整理であり、変動の幅や戻りの日数には個人差があります。

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この記事を書いた人

なびのアバター なび 管理栄養士

管理栄養士。栄養相談や特定保健指導の現場で、生活の事情を聞かれないまま数字だけで判断される場面を何度も見てきました。「がんばらずに、ちゃんと食べる」を基準に、コンビニでも選べる目安と、続けられる形を書いています。断定的な効果はうたわず、数字は必ず出典を添えます。記事の根拠や編集方針は運営者情報のページにまとめています。

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